情報革命時代に悠然と構える方法

パソコンを使っていると、あちこちで面白い情報が手軽に入手できるので、つい情報にあふれてしまいます。また、事務管理、企画資料や、文章、写真、映像などを制作していると、ファイルはどんどん増えていきます。もし「この情報革命の時代、あふれるばかりの情報とどのように付き合うべきか」と真剣に考えるなら、灯台下暗し、まず自身のパソコンと付き合ってみませんか。整理されたパソコンを使っていると、この時代であっても悠然と構えていられます。そして、整理しているうちに、神経が徐々に休まり、気分もすっきりしてきます。

デスクトップのよくある話し

まず、デスクトップがこうなっていませんか?

日頃、たくさん仕事があると、保存先をデスクトップにして、そのままにする癖がありませんか。よく使うファイルなら、すぐに開けるよう、デスクトップに置くととても便利です。でも、よく使うファイルが本当に多くなってしまったら。デスクトップがアイコンで埋まり、せっかく場所を覚えても、しばしば忘れるものなので、すぐに探し出せなくなってしまいます。

探すことは整理するより疲れる

探すことは、整理するより、疲れます。探すために時間を使うと、整理する余裕が減り、せっかく整理する機会が持ちにくくなりがちです。探すには、過去の時点のたくさんのことを思い出し、使うまでの時間を焦りつつ探さねばなりません。反対に、整理していると、過去の記憶から次々と解放され、すぐに探せるようになると、心の負担が減り、神経をいやします。パソコンを開いてすぐやることに取りかかれると、それだけでストレスが軽くなります。

生き物も同じ

生き物も、外の世界で起こる事象にすばやく反応できるよう、身体の中をいつも整理しておくことに、時間とエネルギーを惜しみません。例えば、花粉にすばやく反応すると、鼻水が出ます。すばやく反応するために、免疫の分子を粘膜に整理しておくからです。また、食べて、消化して、吸収して、排出することで、分子を更新しておきます。熱が加わると物事は散らばっていきますが、整理すると若干冷えます。体温を一定に保つためにも、分子をいつも整理しておくのです。整理は生命の最も基本的な機能だと思います。整理はとても生命らしい行為なのかもしれません。

整理されているほど価値が高い

世の中には、整理するための専門職がありますし、整理されていることを売りにするところもあります。例えば、図書館司書や博物館の学芸員。本の配架、展示の構成。いずれも情報を扱います。整理された情報は、見やすく、興味が増し、心がいやされることもあります。情報は整理されていると、それだけで価値が高まります。だからこそ、本は買う価値があり、ウェブサイトは情報をデザインされる必要があります。

整理=集める+分ける

思い立ったが吉日、整理するためだけの日を作ってみては。ここで、整理とは何をどうすることかを考えてみます。例えば、掃除とは、ごみを移動するだけでなく、ごみを整理することです。ごみかどうかを判断し、ごみを処理の方法で分別します。つまり、掃除には、ごみと使うものとを判別する過程と、ごみの性質で分類する過程があります。整理とは、まとめて分け、分けてまとめることの繰り返しです。まとめる時にはグループが、分ける時にカテゴリが、あると便利です。グループにもカテゴリにも、名前を付けると楽です。

フォルダに名前を付けて使う

ファイルをまとめる時にも、分ける時にも、フォルダは便利です。ファイルをグループにできるときは、そのグループの名前でフォルダを作ってしまいます。その中にファイルを集めます。また、カテゴリで分類できるときには、いくつものカテゴリの名前でそれぞれフォルダを作ってしまいます。フォルダを作ったら、分類したようにファイルを放り込んでいくだけです。実は、パソコンの整理のポイントは、フォルダに名前を付けることなのです。

整理して疲れさせないデザイン

ウェブデザインにかかるほとんどの時間は、情報をどのように整理するかを考えることに使います。欲しい情報がすぐに見つかるウェブサイトは使いやすいものです。パソコンを整理していると、どのようにグループ化し、どのようにカテゴリ化すればすぐにファイルが見つかるか、コツがわかってきます。ユーザーがすぐに探せるウェブデザインを設計するには、なかなか難しいと思うのですが、部屋の棚や部屋の仕切り方など、身の回りのデザインとその使い方を振り返ってみると、ヒントが見つかるかもしれません。万物はできるだけ長く存在するために、いつも整理されているのです。

著者注

大学で図書館情報学を学んだ後、生命科学を専攻して理学修士号を得たため、理屈っぽい文となっております。